▲最近あまり言われなくなったが、デジタルデバイドは確かにまだまだ存在している。実際、私のようなアラカン世代ともなると、おそらく半分以下の人しかネットやデジタルグッズの恩恵を被っていないだろう。うちのかみさんは、私の影響もあって、様々なデジタルグッズを使っており、TwitterやFacebookは私より積極的だし、何よりそれに割く時間がものすごく多くて、テレビや映画をあまり見なくなった。彼女は「最近のつまらないテレビを見たくもないと思う同世代は、デジタルグッズなしだといったい何をして楽しんでいるのだろう」とまで言う。
▲近所に住む彼女の同級生は、デジタル物は全くダメ。その旦那も同様。さすがに携帯メールくらいは使っているが、ネットもほとんど見ないらしい。親族は誰も彼女に使い方を教えないし、デジタル物は結構高額だから買えないとのこと。ということで彼女は今後、デジタル物を使うことはなく老いていくように思える。何かのきっかけで、彼女がデジタル物を使うようになることは、はたしてこの先果たしてあるのだろうか。
▲と考えたとき、いや案外あるかも、と思い当たることがある。それはタブレットと無線回線の普及が急速だからだ。うちのかみさんもPCは使うが、はっきりいってあまり得意ではない。仕事のために開くことはあるが、もっぱら使うのはiPhoneとiPadだ。私はアップル嫌いなのでこれらを全く使わないため、彼女に対しては完全にノーサポート。彼女はそれまでの知識に加え、ネットで多くの知人を得て、これらを使いこなしている。いや、使いこなしているとまではいえないようだが、少なくとも楽しめるレベルにある。まあ十分だろう。
▲しかし正直なところ、まだタブレット類もスマホも普通のおばさんにはかなりハードルが高い。とはいえかみさんを見ればわかるとおり、PCと比べたらこれはもう圧倒的に簡単だ。象徴的なのはキーボードが無いことだろう。パソコン利用の大きなハードルはキーボードとマウスだ。カーソルを動かし、ダブルクリックし、ローマ字入力して変換する、この一連の作業ができるようになるかが、パソコンの最大の難関だったといってもいい。クルマでいえば、クラッチとアクセルとギアだ。昔はこの三つを使えるようになるため免許取得に苦労したものだが、今はオートマだから苦も無く免許が取れる。しかしPCはいまだに難しい。いったん覚えればクルマもPCもとても便利になるのだが。
▲これがタブレットやスマホとなると直感的に触れるだけだ。入力にしても最近は手書きIMEが実用域に入っている。私はキーボードがあれば考える速度で入力できるが、フリック入力はそこまでは無理。そのためまるでキーボードの使えない老人になった気分でめげていた。といって今さら入力練習をするのも嫌。そこで手書きIMEを入れてみたら、これが結構使える。簡単な文章なら今や手書きの方が手っ取り早い。昔、PalmOSのPDAで特殊な手書き文字を覚えたものだが、今は日本語がそのまま手書き入力できる。つまりタッチパネルと手書きIMEがあれば、どんな老人だってタブレットやスマホ使いこなせる可能性がある。ウインドウズ8はPCでそれをやろうとしているのだろう。
▲またタブレットでやることは、基本的にすべてアプリにしてしまえば簡単だ。ブラウザで新聞サイトを読むより、新聞のアプリを入れて開いた方が簡単で見やすい。こうなると今後大手サイトはすべてアプリ化するしかないだろう。タブレットやスマホにそのアプリを入れれば、実際すぐに誰でもひとまず見られるし使える。デジタルデバイドなおばさんでもちょっと教えれば多分すぐに使いこなせるはずだ。
▲そしてもう一つは回線の問題。PCでネットを見ようと思うと、回線を確保し、プロバイダを契約し、ルータを置き、無線LANを設定するという大きなハードルがあったが、タブレットやスマホはそれが内蔵されている。テザリングができれば必要に応じてPCだってつなげられる。ワンアクションで、しかも無線でネットに繋がるのは、おばさんにも抵抗はないだろう。問題はまだ少し高めの回線料金だが、これはいずれだんだん下がっていくだろう。むろんトラフィック増の問題は今後解決しないといけないが。
▲つまりもうPCは死んだのだ。デジタルデバイドの解決にはPCはもはや何の力も持たない。今後はすべて、タブレットやスマホの世界になっていくだろう。その暁には、じいさんもばあさんもネットに繋がる。ウインドウズ、これまで長い間ありがとう。ビル・ゲイツ、ここまできたのはあなたのおかげ。ありがとう。でも、頭のいいあなたはもう自分の出る幕ではないと数年前にわかってしまったゆえ、とっとと引退したのだろう。そしてスティーヴ・ジョブス、本当にありがとう、ご苦労様。一足先にクラウドの世界へ旅立ったあなたのおかげで、私たちはここまできた。私はマックが嫌いだ。だけどあなたがいて本当によかった。
▲二人と同世代の私はもう少し生きながらえるつもりだ。PCジジイの私は今後、猫も杓子もタブレットばかり使いやがって、と悪態をつきながらのたれ死ぬしかないのかもしれない。だって手書き入力しかできないということは、隣のおばさんと同レベルになってしまったのだからw。その前にできるだけ自分のデータをクラウドに上げて、ジョブズのようにクラウドの中で生き続けるための準備をしよう。現世と来世はやがてクラウドの中で融合するかもしれない。私も旅立ちの準備の前に、まずはアップロードだ。
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Entries from 12月 2011
デジタルデバイドを超えるもの(ありがとう、ジョブズ):編集長コラム 水野誠志朗\’sトーク
12月 30th, 2011 · No Comments
Tags: 欧州車情報
自賠責が赤字。その原因の一つは私かもしれない:編集長コラム 水野誠志朗\’sトーク
12月 30th, 2011 · No Comments
▲自動車損害賠償責任保険、いわゆる自賠責が赤字ということで、今年(2011年)4月から保険料が引き上げられていることをご存じだろうか。自賠責がどう運営されているのか、なぜ赤字なのかが今ひとつはっきりしないが、いずれにしても事故での支払いが多いということに関しては間違いないようだ。私も昨年、この保険が大量に払われた事故に遭遇したので、報告しておきたい。ちょっと、なんだかな、と思う話だ。
▲まずその事故だが、四十絡みの女性が乗る自転車に、私のクルマがかすったというもの。事故状況だが、横断歩道で止まった私のクルマの前を横切った自転車の駐輪スタンドの後端に、少し動き出した私のクルマ前部がかすった(らしい)。女性は子供を自転車後部のチャイルドシートに乗せていた。クルマ側にはなんら衝撃は無く、そのまま通り過ぎるところだったが、自転車を止めて振り向いた女性がわめいているので、クルマを止めると、当たったと言う。むろん自転車は倒れてなどいないし、クルマを見ても当たった形跡がないので、そんなことはないというと、足が痛いと言い出した。当たり屋ではないかと疑ったくらいの強い語気に、それなら警察へ行こうと近所の交番へ。この時は特に痛がる様子もなかったのだが。
▲交番で事故処理班を呼んでもらい、現場検証したが、そこで私のクルマのバンパー下にごく小さな擦り跡があり、ここに接触したのだろうということに。そうなれば致し方ないので、こちらも下手に出ることにしたのだが、そうすると今度は後ろに乗っていた子供も体が痛いといっていると言いだした。さすがにこれは普通じゃないなと思ったが、警察とも話をして、一週間様子を見て人身事故にするかどうか決めるということでその日は別れた。翌日、お詫びとして菓子折を持って事故現場すぐの自宅に行くと、受け取らない。保険屋と話すから受け取れないという。今までいくつもの事故に対応してきたが、この時点でちょっとやっかいな人であると再確認した。
▲一週間過ぎたら警察から連絡があり、案の定、先方は人身事故扱いにしたいと言っているとのこと。うちの保険会社と相談したが、そうした人だったら保険を使った方がいいでしょうとのアドバイスもあり、その後の対応は保険会社に任せた。そして私には軽微な人身事故(ただし女性と子供の二人分)ということで行政処分点4点がつけられた。おかげで累積6点になってしまい、以前のコラムで書いたように講習出席の次第となったのである。ただし、いわゆる罰金はまったく来なかった。警察としてもごくごく軽微な事故という認識だったからだろう。
▲それからは保険会社からの報告書を読んでいただけなのだが、後ろに乗っていたの子供には半年後に治療費約30万円、賠償金約50万円が支払われた。女性の方はそれからさらに半年以上(事故から1年以上)治療に通い続け、治療費約120万円、賠償金約150万円が支払われた。あとで見たら自転車にも修理代として4万円弱が支払われていた(もちろん壊れてなどいないが)。保険会社によると、本人はまだまだ通院すると言ったそうだが、さすがに保険会社もこれ以上はということで、多めの賠償金で手を打ったそうだ。クルマがかすっただけで実に350万円ものお金が支払われたのである。
▲自賠責は任意保険に優先して一人あたり120万円まで支払われる。つまり子供の分は全額自賠責から、女性の分は120万円が自賠責から支払われ、残りの150万円ほどが任意保険からの支払われた。人身事故の場合、このようにまず自賠責が使われる仕組みである。つまり120万円までは、任意保険会社の自腹は痛まない。このため割に支払いが甘いとされるが、それを超えると示談を急ぐ傾向にあるようだ。これを知ると自賠責が赤字になるのは、今回のケースのようにどんどん支払われてることも原因の一つではないかと思えてきた。
▲一般的には加害者という立場になる私だが、このケース、さすがに素直にごめんなさいという気になれない。保険会社によればこのような支払い事例は少なくないようだ。この女性に関しても、初めての事故ではなく、過去にそれなりに経験があるように思われるという。ただそうしたデータを自賠責は持ってはいないようだ。任意保険の会社では、自社が支払った人のデータベースを持っているようだが、それでも他社のデータまで見ることまではできないようで、いわゆるブラックリストのようなものは、公には存在していないという。同じ会社で二度目の事故請求となれば、当然それなりの対応をするようだが。
▲いずれにしても自賠責が赤字になっている中で、今回のような支払い事例を見てしまうと、まじめに自賠責のお金を支払っているドライバーがバカを見ているような気がしてくる。また死亡最大3000万円、けが最大120万円の自賠責では賠償金が全額支払いきれないケースが多い(今回もそう)。であれば自賠責などもう撤廃して、民間の自動車保険に一本化し、加入を義務づける方が合理的ではないだろうか。保険会社も支払いが慎重になるだろう。もちろん保険に入らない人はより厳しく取り締まるべきで、警察にも意味のよくわからない交通取り締まりばかりでなく、こちらにも力を入れてもらいたいもの。
▲また、多大な労力をかけて警察が現場検証をしてくれるのだから、個々の事故に応じて過失責任を算定する仕組みと、それに対する賠償を明文化できないものだろうか。今回のケースであれば、この保険金支払いが何だかちょっと変だと言える第三者は、当日の現場検証をして書類を作った(それゆえ行政処分を下した)警察しかいないのだから。何百万円ものお金が動く話なのだから、民事不介入の一言で済ましていいのかとも思う。どれだけ安全に気を使って運転していても、事故は起きるときには起きてしまう。その時の備えを、個人はもちろん、制度としても見直す時が来ているのではないだろうか。
▲昨年(2010年)の無保険車(自賠責未加入車)摘発が過去10年で最多の5385件に上っているという。自賠責に入っていない人はものすごく多いようだ。また無保険車によって事故にあった被害者を救済するため、国が賠償金を加害者(無保険車運転者)に代わって立て替える制度があり、そうして支払われた立替金を加害者から回収できなかった額は458億円に上るという。この制度では自賠責とほぼ同額が被害者に支払われるが、その原資は自賠責保険料の一部とのこと。今回、もし私が無保険車であった場合、どのように支払われただろうか。被害者であることを声高に主張すれば、この制度でも支払われるのだろうか。クルマを取り巻く問題の一つがこんなところにもある。
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Tags: 欧州車情報
スズキ スイフトスポーツ:新車試乗記
12月 30th, 2011 · No Comments
キャラクター&開発コンセプト
100kWの1.6リッターエンジンや6MTを採用
東京モーターショー2011に出展された新型スイフトスポーツ
新型「スイフトスポーツ」は、2010年9月に発売された現行スイフトのスポーツモデル。新型はジャスト100kW(136ps)を発揮する新開発の1.6リッターエンジンを搭載。さらに新開発の6速MTもしくは7速マニュアルモード付CVT、専用サスペンション、専用内外装などを採用し、「気持ちの良い走りと操る楽しさ」(プレスリリース)を追求したモデル。コンセプトは「スポーティ フラッグシップ」だ。6MT車は2011年12月13日に発売済みで、CVT車の方は少し遅れて2012年1月27日に発売される。
新型スイフトスポーツ用の改良型「M16A」型エンジン
■スズキ株式会社>プレスリリース>新型スイフトスポーツ発売
【過去の新車試乗記>スズキ スイフトスポーツ】
■初代スズキ スイフトスポーツ (2003年8月更新)
■2代目スズキ スイフトスポーツ (2005年10月更新)
■2代目(後期型) スズキ スイフトスポーツ (2007年6月更新)
価格帯&グレード展開
6MTが168万円、CVTはその6万8250円増し
特別塗装色のプレミアムシルバーメタリック
スイフトスポーツはモノグレードで、6MT(168万円)とCVT(174万8250円)の2種類。FFのみで、4WDはない。また日本仕様は5ドアのみで、欧州向けの3ドアはない。
工場装着オプションはディスチャージヘッドランプ(6万3000円)くらいで、キーレスプッシュスタート、クルーズコントロール、フルオートエアコン、ESPは全車標準。オーディオヘッドユニットは販売店オプションになる。
ボディカラーは計6色で、チャンピオンイエロー4、スーパーブラックパール、アブレイズレッドパール2、ブーストブルーパールメタリック、そして2万1000円高のプレミアムシルバーメタリック(写真)とスノーホワイトパールが用意される。
特別仕様車の「スイフト RS」
(photo:スズキ)
ちなみに普通のスイフトは全車1.2リッター(1242cc)の5MTかCVTで、124万4250円~165万3750円(4WD含む)。アイドリングストップ装着車(10・15モード燃費は25.0km/L、JC08モード燃費は21.8km/L)もあるほか、11月にはエアロパーツや欧州仕様の足回りを採用した特別仕様車「RS」(137万0250円~154万8750円 ※4WDを含む)も発売されている。
パッケージング&スタイル
専用エアロパーツ、2本出しマフラー、大径17インチタイヤを装着
現行スイフトのスタイリングは、もともとかなりスポーティだが、スイフトスポーツは開口部が2倍くらいに大きくなったフロントグリルや髭のようなフィン付の大型フォグランプベゼルを備えた専用フロントバンパーを採用。ちょっとVWアウディっぽいのは何だが、ほどよく精悍になっている。
ボディサイズは全長3890mm×全幅1695mm×全高1510mmで、普通のスイフトに比べて40mm長い
ボディ側面にはサイドアンダースポイラーや5穴タイプの17インチアルミホイール&タイヤ、リアにはディフューザー形状のバンパー、2本出しマフラー、ルーフエンドスポイラーを装着。ちなみに新型スイフトスポーツは、「2011年度グッドデザイン賞」受賞車。先代スイフトは受賞しているが、現行モデルはなぜか選ばれなかったので、今回の受賞はそのリベンジといったところ。
ホイールベースはベース車と同じで2430mm
最小回転半径はスイフトのエントリーグレード(タイヤは175/65R15)だと4.8メートル、上級グレードの185/55R16タイヤ装着車だと5.2メートルだが、スイフトスポーツはさらにワイドな195/45R17タイヤを履きながら、同じ5.2メートルに抑えている。このジャンル(FFホットハッチ)では5.6メートルくらいあるケースが珍しくないので、頑張って小さくした方だ。
インテリア&ラゲッジスペース
専用メーターパネル、ステアリング、シフト操作系を採用
インパネやドアトリムはヘアライン入りのメタル調パネル付
インパネの意匠はところどころスポーツ専用。例えばステアリングは赤いステッチ入りで、リムやスポークの形状を微妙に変えた専用品。またメーターパネルも中央の液晶ディスプレイ(瞬間/平均燃費や外気温などを表示)がシルバーのリングで囲まれ、スズキの言葉を借りれば「5眼メーター」になっている。速度計も非スポーツが200km/hスケールのところ、スポーツはちゃっかり240km/hスケールだ。もちろん日本仕様では速度リミッターが180km/h+で効く。
こちらはCVT車のインパネ。専用ステアリング、240km/hメーター、パドルシフトに注目
(photo:スズキ)
それより先にクルマ好きの目が向かうのは、6MT車ならシフトノブ、CVT車なら7速マニュアルモード用のパドルシフトだろう。試乗インプレッションでも触れるが、操作性はどちらも良好。またドライバーの足もとにはステンレス製のペダルプレートが並ぶ。
専用スポーツシートや赤いステッチを採用
専用シート表皮や赤いステッチがスポーツの目印
(photo:スズキ)
専用スポーツシートも赤いステッチ入り。サポート性はただ座っただけだと、可もなく不可もなく、という感じだが、ワインディングでは背もたれのフレームが上体をしっかり支えてくれる。もちろん運転席にはシートリフター、ステアリングにはチルト(40mm)およびテレスコ(36mm)調整機能が備わる。
足もとは広く、背もたれ角度も適切。ファミリーカーとして普通に使える
素のスイフトと異なり、後席には3名分のヘッドレストと3点式シートベルトが備わる。またスイフトスポーツの専用装備ではないが、1段階のリクライニングも可能。
なおエアバッグは前席フロントに2個を標準装備するだけで、サイドエアバッグやカーテンエアバッグはオプションでも設定なし。欧州車だと6エアバッグが珍しくないが、このあたりは考え方次第か。
荷室スペースはベース車同様、最小限
資料に荷室容量の明記はなかったが、見た目は普通のスイフトと同じなので、容量もそれと同程度(130リッター)だろう。BMW MINIでも150~160リッターだから決して広くはないが、この割り切りの良さをむしろ高く評価したい。
床下には天地の薄いサブトランク。その下には普通のスイフトだとテンパー式のスペアタイヤがあるが、スイフトスポーツには電動コンプレッサー付のパンク修理キットが備わる。
基本性能&ドライブフィール
ジャスト100kWの最高出力を達成
今回は12月に箱根で行われたメディア向け試乗会に参加。箱根周辺や芦ノ湖スカイラインという限定的なコースではあるが、6MTとCVTの両方を取っ替え引っ替え試乗することができた。
いずれもエンジンは新開発の1.6リッター直4。先代スポーツの「M16A」型をベースに、可変吸気システム付の樹脂製インテークマニフォールドを新採用したもの。インテークマニホールドの途中に電動のフラップ(インテークコントロールバルブ)があり、低回転時にはそれを閉じて吸気管長を長くし(吸気を遠回りさせる)、トルクを確保。高回転時にはそれを開けて吸気を近道させ、パワーを稼ぐ。
VVT(連続可変バルブタイミングシステム)は吸気側のみだが、新型に合わせてリセッティングされ、プロファイルもハイカム化。一方で排気側はエクゾーストマニフォールドを4-1形状としている。また耐ノッキング性能を上げるため、燃焼室まわりの冷却性も高められている。
これら諸々の改良は、とにもかくにも開発目標に掲げた100kW(136ps)/6900回転を達成するため。先代スポーツは92kW(125ps)/6800rpmだったから、最高出力は実に約9%アップ。また最大トルクも先代の148Nm(15.1kgm)/4800回転から、160Nm(16.3kgm)/4400回転と、約8%もアップしている。
吸気VVTの採用などで先代比11psアップの136psを発揮する「M16A型」エンジン。遮熱板で見えないが、エキマニは見事にタコ足形状。さすが二輪メーカー
圧縮比は11.1→11.0とほぼ変わらず、指定燃料も従来通りプレミアムだ。「レギュラーではダメなんですか?」とエンジン開発担当者に聞くと、「とにかく1.6リッターで100kWが目標でした。そのためにはノッキング対策が(レギュラーのままでは)難しい」とのこと。
まずは試乗会場から箱根の一般道へ走り出す。乗り心地は普通のスイフトと大差ないか、ひょっとするとスポーツの方がイイかも?と思うほど。箱根の道をゆっくり走っていても、突き上げ感や揺すられ感がまったくない。軽量ホイールによるバネ下の軽さやモンロー製ダンパーなどが効いている感じ。
エンジンもけっこう静か。開発スタッフによると「(吸気音などを増幅させる)エンハンサーなどを付けて、エンジン音を聞かせる方向も考えたが、(検討した結果)止めました」とのこと。結果として素顔ならぬ素のエンジン音だけが聞こえるが、これはこれでありというか、むしろ自然ではないか、と思う。
【6MT】 新型スイフトスポーツの宝
ご存じ芦ノ湖スカイラインはこんな道。尾根沿いに小さくアップダウンを繰り返しながら、2速、3速を多用するワインディングが続く
まずは6MTの印象から。発進はごく簡単で、自然吸気エンジンらしい自然な加速感と共に走り出す。1速と2速にトリプルコーンシンクロを奢った6MTは、ケーブル式ながらシフトストロークが短く、かといって硬さもない。今回の試乗中、ミスシフトはもちろん、ゲートを探るようなことすら一切なかった。とても操作性のいいギアボックスだ。
ちなみにスズキにはこれまで、キザシやSX4の海外向けに6MTがあったが、そのミッションは高トルク対応で大きく重いため、スイフトには使えない。ゆえにスイフトスポーツ用の6MTは、シャフト間の寸法を詰めて小型軽量化を図った、全くの新作。CVTの方が車両価格は高いが、日本市場における「つぶしの効かなさ」を考えると、実は新型スイフトスポーツで一番お金が掛かっているところかも。
とはいえ、先代スポーツでは何と国内向けの7割が5MTだったらしい。これには2ペダル車が商品力の弱い4速ATだったせいもあるはずが、それにしても今どき7割というのは驚くべきMT率の高さ。ただ、欧州向けの新型スイフトスポーツ(ハンガリー生産)に至っては6MTしかないらしいが。
ワインディングではまさにオン・ザ・レール
芦ノ湖スカイラインへ向かう登り勾配では、2速のまま、レッドゾーンが始まる約7300回転までブン回す感じ。高回転域でも重苦しさはまったくない。芦ノ湖スカイラインとこの6MTのギアリングはドンピシャで、2速、3速を行ったり来たりしながら、非常にリズミカルに走ることができる。
ちなみにこの6速、全体にクロースレシオかと思いきや、実際にクロースなのは2速~5速で、6速は燃費を稼ぐためのオーバードライブ。開発担当者によると、1速~4速の各ギアでカバーする速度域は、先代の5MTと大差ないらしい。確かに新旧のギア比(最終減速比と掛け合わせた数値)を比べてみると、そんな感じだ。
コーナリングに関しても、難しいことは一切なし。ステアリングをせいぜい90度まで切り込めば、芦ノ湖スカイラインにあるほとんどのコーナーを、スムーズなラインで気持ちよくクリアできる。ブレーキを残しながら入っても、ESPのおかげでブレーキングアンダーに陥ることはなく、もちろん唐突にオーバーステアに転じることもない。パワーがある意味、136ps程度ということもあって、イケイケで行っても絶対的な安心感がある。
195/45R17タイヤは、国産スポーティモデルで定番のブリヂストン・ポテンザRE050A。軽量17インチアルミホイールはスポーツ専用の5穴タイプ
その要因となっているのが、まずはステアリングから伝わってくるガッシリ感。ステアリングギヤボックスにはブラケットメンバーが追加され、ドイツ車のような重厚な操舵感がある。ついでに言えば、フロントサスペンションのサブフレームにもV字型のメンバーを追加。フロントおよびリアのアクスルも強化品で(ハブベアリングを大型化し、キャンバー剛性を向上)、フロントサスペンションも、ダンパーのストラットを大径化して、リバウンドスプリングを内蔵したもの。 そしてドライブシャフトも、インターミディエイトシャフトも、すべてスポーツ専用品と、よくもまあ、と感心するくらい目立たない部分に手が入っている。
ワインディングを走行中、中でも一番ありがたいのは抜群の接地感。特にリアに関しては、「実はマルチリンクなんです」と言われたら信じてしまいそうなほど、ピタリと路面を捉えて離さない。もちろんリアサスもアームや取付剛性を強化した専用品だが、型式自体は一般的なトーションビームだ。このあたり、リアマルチリンクのMINIを意識したものだと思う。
もちろんブレーキも専用品。フロントのベンチレーテッドディスクは肉厚化され、ブースターも改良。リアブレーキはキャリパーをアルミ製にして軽量化してある。「いかにも高性能ブレーキ」という感じの効きやタッチではないが、このパワー、この車重なら十分では。芦ノ湖でひとしきり走っても、フェードの兆候はなかった。
【CVT車】 パワー感だけでなく、接地感もかなり違う
CVT車に乗り換えると、当然ながら6MT車のような、アクセルペダルと前輪がつながっているようなダイレクト感は薄れ、中間にベルトとプーリーが介在していることを意識させられる。エンジン自体はMTと同じはずながら、パワー感も今ひとつ。開発スタッフによると、CVTによるメカニカルロスは5%くらいで、パワー感に差を感じるとすれば、車重(CVTでは前軸荷重がMTより20kg重くなる)の方が要因としては大きいのでは、とのこと。とにかく、7速マニュアルモードを選択したとしても、6MTとは印象が異なる。
またワインディングで特に感じるのは、6MTのギア比と、CVTの7速MTモードのギア比の違い。芦ノ湖スカイラインのようなワインディングの場合、6MTだと2速、3速で無理なくカバーできるが、CVTの場合は、かなり高回転をキープしておかないと、シフトアップ直後にパワーバンドから外れる感じがある。
「7速なら、6速MTよりクロースレシオなのでは?」と思うかもしれないが、このCVTは超ワイドレンジを誇るハイ・ロー2段の副変速機付CVT。よって1速と7速のギア比は離れており、各ギアのステップ比も小さくない。具体的に数字で示すと、6MTは3.615(1速)~0.794(6速)で、その差は2.821。CVTは4.006~0.550で、その差は3.456だ。ちなみに最終減速比は6MTが3.944、CVTが4.011で、そんなに差がない。6MTとCVTの差は、構造だけの問題ではない、ということだ。
またパワー感以上に気になったのが、CVT車における接地感の薄さ。前を走る6MT車を追おうとしても、6MT車のような人車一体感が薄く、一歩引いた感じで運転せざるを得ない。マニュアルモードでも自動シフトアップしてくれるので、とにかく高回転までエンジンをブン回すのだが、6MT車について行くのは難しかった。逆に言えば、6MT車でCVT車を追いかけるのは、エンジンパワーに関係のない下りでも容易。
先代スポーツに比べて、燃費は約7~18%も向上
今回は試乗燃費はとっていないので、ここではモード燃費に触れておく。新型スイフトスポーツの10・15モード燃費/JC08モード燃費は、6MT車の場合は15.6km/L/14.8km/Lで、CVT車の場合は16.0km/L/15.6km/L。これを先代スポーツと10・15モード燃費で比べてみると、6MT車では約7%向上していて、先代4AT車と新型CVT車との比較では約18%も向上している。
先代4ATより新型CVTの方が燃費がいいのは当然として、6MT車で7%も向上しているのは大きい。まさに燃費ギアに振った6速トップのおかげだろう。
ここがイイ
6MT車のハンドリング、価格設定
(photo:スズキ)
普通のスイフトでもハンドリングは文句なしだったが、136psのパワーと6MTを得たスポーツのそれは、このクラスでベストと言える完成度。資料を丹念に見てゆくと、外から見える部分だけでなくシャシー全体に事細かに手が入っており、それらの結果がこの走りなのだろう。欧州市場では3ドアボディとの組み合わせで6MTだけを販売するようだが、確かに欧州でも通用しそうな出来映え。加えて乗り心地もいいし、装備も揃ってるし、コンパクトカーとして何ら不足ない。
6MT車なら168万円という価格設定。オプションのディスチャージドヘッドライトを除けば、後は好みのオーディオやメモリーナビを後付けするだけでOK。ハチロクが話題を集める昨今だが、やはり「趣味のクルマ」として多くの人が無理なく買えるのは、このあたりの価格だろう。
ここがダメ
CVT車の走り(ただしワインディングに限った話)。今一歩のパワー感
(photo:スズキ)
今回のようにワインディングで6MT車と乗り比べてしまうと、本文にある通り、CVT車の走りには不満を感じざるを得ない。もちろん箱根のような「特殊な」状況ではなく、市街地や高速道路を「普通に」走る分にはCVTでも不満がないどころか、むしろCVTの良さが光るかもしれない。モード燃費にしたって、若干ながらCVTの方がいいわけだし。チャンスがあればCVTにはもう一度じっくり試乗してみたいところ。
入門スポーツとして考えればパワーは十分だが、欲を言えば2リッタークラスのパワーやトルクが欲しいところ。ライバルはヴィッツRSやフィットRS、ルノー トゥインゴRS、アバルト500あたりかもしれないが、この完成度ならもう一つ上のクラス、VW ポロ GTIやMINI クーパーS、ルノー ルーテシアRSあたりと勝負して欲しい気がしてくる。エンジンで言えば1.4~1.6リッターの直噴ターボか自然吸気の2リッター。馬力で言えば180~200ps前後、トルクで言えば20~25kgm前後という世界。これらのモデルが人気なのは、要するにそれくらいパワーがあった方が面白く、所有する歓びもより大きいから。コンセプトに「スポーティ フラッグシップ」を掲げる以上、さらに上を目指して欲しいと思う。
ステアリングは専用品だが、もう少し見た目にスペシャル感が欲しいところ。小径にするとメーター視認性やレバー類との位置関係が崩れるので難しいと思うが、もう少し質感を上げるとか、D型にするとか、一工夫で印象が変わるはず。昨今、スポーツモデルでもエアバッグ等の関係でステアリングを社外品に交換することは難しいので、最初からカッコいい方がいい。
総合評価
モーターショーの話
スイフトスポーツと直接関係ないが、名古屋モーターショーが12月25日に幕を閉じた。今年の東京モーターショーは会期が10日間と前回より短く、その10日間で比較すると前回を上回ったということで成功と言っているわけだが、絶対的には(前回の全来場者数と比較すれば)相当数の来場者が減っているわけで、どうも数字のマジックを見せられている気がしてしまう。その点、名古屋モーターショーは以前から会期が4日と変わっておらず、今回の来場者数は20万3900人なので、絶対的にも2009年(17万4500人)を上回った。それでもリーマン・ショック前の2007年には25万2100人も来場したので、楽観はできないのだが。
特に今年、年末の22日からという微妙な日程にもかかわらず、これだけの人が集まったということは、やはり名古屋が日本の「モータウン」だからだろう。そしてまた、この名古屋において、これだけの人数を一度に集められるイベントも、モーターショーをおいて他にない。地方ではクルマがまだまだ大きな力を持っていることを再認識するべきだと思う。少なくともこのエリアの人々は、クルマに無関心ではいられないのだ。
名古屋モーターショーの場合、国産メーカーのブースは東京モーターショーがほぼパッケージで引っ越してきたという感じだったが、輸入車は地元ディーラー中心の出展となり、見た目リッチな展示とは言えなかった。しかし、それでも多くの来場者を集めたのは、ひとえに輸入車に力があったからだろう。11月の輸入車登録台数は、前年比36.6%増と好調であり、年間を通しても前年を11.6%上回っている。
また中古車登録台数も同様に好調だ。クルマが売れないと言われる中で、この状況をどう考えたらいいのだろうか。これは最近の日本車がいかに魅力を失っているか、ということではないか。今回のモーターショーでも、国産車の展示は大半がエコカー、ミニバンなどのファミリーカー、SUVであり、どうにも面白みが少ない。しかしその中で、走りを押し出したハチロクとBRZに人気が集まっていたのは、クルマ本来の魅力を打ち出せば、まだまだクルマには力があるということの証左だろう。トヨタの「ファン・トゥ・ドライブ・アゲイン」を強く支持したいし、それは日本車が輸入車に負けないための正しい方向性だと思う。
もっと注目されるべき
で、東京モーターショーの時点では、これから発売されるクルマとして並んでいたのがスイフトスポーツである。人気モデルの新型ゆえ、もうちょっと話題を集めてもよさそうなものだが、今ひとつ注目されなかったのは残念。まあスイフトスポーツは先代スイフトの全販売台数の中でも9%くらいだったらしいので、致し方ないのかもしれないが、スズキ車の走りを象徴するモデルだけに、もっと派手に演出してもらいたかった。
スイフトスポーツのようなクルマが作られるのも、輸出が大きなウエイトを占めているからだが、いずれにしてもこんなスポーツモデルが日本車にあることを、日本人としては素直に喜ぶべきだろう。国内ではヴィッツRS、フィットRSがライバルとなるが、ベース車のスイフト自体がすでに大人が乗れるコンパクトカーであり、その意味でこのスイフトスポーツもクラスを超えた存在のスポーツコンパクトだと思う。そこにこのクルマの大きな存在意義がある。「スイフトマガジン」(三栄書房刊)なんていうワンメイク雑誌が作れるほど、存在感があるこのモデルが、代を重ねて販売され続けることは、日本車にとって重要なことであり、クルマというものが生き残るための素晴らしい展開だと思う。断固支持したい。
MRワゴンのこと
ということで、唐突だが、ここでモーターデイズのイヤーカーを発表したい。スズキつながりということで、1月に登場したスズキ「MRワゴン」を今年のイヤーカーにしたいと思う。クルマの良さについては、年初の試乗記を読んでもらいたいが、今や日本車の主流である軽自動車というジャンルで、「ひとつの頂点を極めた」意義のあるクルマだと思うのだ。
残念ながらこのクルマは、スズキではベストセラーを義務付けられたワゴンRの影に隠れて、ひっそりと存在している。日産からはMOCOという名でOEMで販売され、そちらで販売台数を稼ぎ、スズキではよりマニアックなデザインで売られているわけだが、タントのようなスペース志向型の軽自動車と、ワゴンRのような元祖トール型軽自動車とは違う「ちょうどいい」軽自動車として新しい提案になっている。また新型エンジンとCVTも搭載され、それと同じパワートレインをアルトに載せたことでJC08モード燃費:30.2km/Lのアルトエコも作れたわけで、パワートレインについても新しい時代にふさわしいと思う。
確かにCOTYを受賞した日産リーフは今年突出した存在だったが、航続距離の短さのほか、マンション住まいの人は欲しくても買えないという点など、一般的なクルマの概念では評価してはいけないクルマだったように思う(その意味では特別賞だろう)。マツダ デミオやメルセデス・ベンツ Cクラスも、これはマイナーチェンジでしょう、と思う。全くのフルモデルチェンジで、軽自動車に新たな価値観を提案したという意味でも、MRワゴンはイヤーカーにふさわしいと思うのだ。
しかし残念ながら、いまだ現行MRワゴンは知名度すら高くなく、下手をすると不人気車として消えてしまいかねない。今後、軽はもうちょっと低コストな作りが主流となってしまうはず。その意味でも質感の高さでも見るべきものがあるMRワゴンを、せめてモーターデイズだけでもきちんと評価して、記憶に残しておきたいと思うのだ。なにしろ、どこを見回してもイヤーカー候補にすら入れてもらえていないクルマでもある。
「いいクルマ」が「いいクルマ」として知られない不幸
こういうクルマこそもっと世に知られ、評価されるべきなのだが、不幸だったのは登場して二ヶ月ほどの一番大事なときに、震災があったこと。これで巷の評価を上げる機会を完全に逸してしまった。こういう「いいクルマ」が「いいクルマ」として人に知られないことほど不幸なことはない。ブームによってブーストされたメディア情報に躍らされることなく、確かなことを知ることが、本当に難しいのが今の世の中。原発報道じゃないけれど、「本当はこうなんですよ」と言いたい気分だ。
最後にフォルクスワーゲンとスズキについて。大衆車クラスで素晴らしいクルマを作るこの二社が手を組めば、とんでもなくいいものができそうな気がしたが、残念ながらそれはかなわなかった。例えばスイフトスポーツにDSGが搭載されたら、おそらく素晴らしいものになったはずだが、それはとりあえず今はかなわない。こうなった以上、スズキには独自路線で、行けるところまで突っ走ってもらいたいと思う。
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デジタルデバイドを超えるもの(ありがとう、ジョブズ):編集長コラム 水野誠志朗\’sトーク
12月 28th, 2011 · No Comments
▲最近あまり言われなくなったが、デジタルデバイドは確かにまだまだ存在している。実際、私のようなアラカン世代ともなると、おそらく半分以下の人しかネットやデジタルグッズの恩恵を被っていないだろう。うちのかみさんは、私の影響もあって、様々なデジタルグッズを使っており、TwitterやFacebookは私より積極的だし、何よりそれに割く時間がものすごく多くて、テレビや映画をあまり見なくなった。彼女は「最近のつまらないテレビを見たくもないと思う同世代は、デジタルグッズなしだといったい何をして楽しんでいるのだろう」とまで言う。
▲近所に住む彼女の同級生は、デジタル物は全くダメ。その旦那も同様。さすがに携帯メールくらいは使っているが、ネットもほとんど見ないらしい。親族は誰も彼女に使い方を教えないし、デジタル物は結構高額だから買えないとのこと。ということで彼女は今後、デジタル物を使うことはなく老いていくように思える。何かのきっかけで、彼女がデジタル物を使うようになることは、はたしてこの先果たしてあるのだろうか。
▲と考えたとき、いや案外あるかも、と思い当たることがある。それはタブレットと無線回線の普及が急速だからだ。うちのかみさんもPCは使うが、はっきりいってあまり得意ではない。仕事のために開くことはあるが、もっぱら使うのはiPhoneとiPadだ。私はアップル嫌いなのでこれらを全く使わないため、彼女に対しては完全にノーサポート。彼女はそれまでの知識に加え、ネットで多くの知人を得て、これらを使いこなしている。いや、使いこなしているとまではいえないようだが、少なくとも楽しめるレベルにある。まあ十分だろう。
▲しかし正直なところ、まだタブレット類もスマホも普通のおばさんにはかなりハードルが高い。とはいえかみさんを見ればわかるとおり、PCと比べたらこれはもう圧倒的に簡単だ。象徴的なのはキーボードが無いことだろう。パソコン利用の大きなハードルはキーボードとマウスだ。カーソルを動かし、ダブルクリックし、ローマ字入力して変換する、この一連の作業ができるようになるかが、パソコンの最大の難関だったといってもいい。クルマでいえば、クラッチとアクセルとギアだ。昔はこの三つを使えるようになるため免許取得に苦労したものだが、今はオートマだから苦も無く免許が取れる。しかしPCはいまだに難しい。いったん覚えればクルマもPCもとても便利になるのだが。
▲これがタブレットやスマホとなると直感的に触れるだけだ。入力にしても最近は手書きIMEが実用域に入っている。私はキーボードがあれば考える速度で入力できるが、フリック入力はそこまでは無理。そのためまるでキーボードの使えない老人になった気分でめげていた。といって今さら入力練習をするのも嫌。そこで手書きIMEを入れてみたら、これが結構使える。簡単な文章なら今や手書きの方が手っ取り早い。昔、PalmOSのPDAで特殊な手書き文字を覚えたものだが、今は日本語がそのまま手書き入力できる。つまりタッチパネルと手書きIMEがあれば、どんな老人だってタブレットやスマホ使いこなせる可能性がある。ウインドウズ8はPCでそれをやろうとしているのだろう。
▲またタブレットでやることは、基本的にすべてアプリにしてしまえば簡単だ。ブラウザで新聞サイトを読むより、新聞のアプリを入れて開いた方が簡単で見やすい。こうなると今後大手サイトはすべてアプリ化するしかないだろう。タブレットやスマホにそのアプリを入れれば、実際すぐに誰でもひとまず見られるし使える。デジタルデバイドなおばさんでもちょっと教えれば多分すぐに使いこなせるはずだ。
▲そしてもう一つは回線の問題。PCでネットを見ようと思うと、回線を確保し、プロバイダを契約し、ルータを置き、無線LANを設定するという大きなハードルがあったが、タブレットやスマホはそれが内蔵されている。テザリングができれば必要に応じてPCだってつなげられる。ワンアクションで、しかも無線でネットに繋がるのは、おばさんにも抵抗はないだろう。問題はまだ少し高めの回線料金だが、これはいずれだんだん下がっていくだろう。むろんトラフィック増の問題は今後解決しないといけないが。
▲つまりもうPCは死んだのだ。デジタルデバイドの解決にはPCはもはや何の力も持たない。今後はすべて、タブレットやスマホの世界になっていくだろう。その暁には、じいさんもばあさんもネットに繋がる。ウインドウズ、これまで長い間ありがとう。ビル・ゲイツ、ここまできたのはあなたのおかげ。ありがとう。でも、頭のいいあなたはもう自分の出る幕ではないと数年前にわかってしまったゆえ、とっとと引退したのだろう。そしてスティーヴ・ジョブス、本当にありがとう、ご苦労様。一足先にクラウドの世界へ旅立ったあなたのおかげで、私たちはここまできた。私はマックが嫌いだ。だけどあなたがいて本当によかった。
▲二人と同世代の私はもう少し生きながらえるつもりだ。PCジジイの私は今後、猫も杓子もタブレットばかり使いやがって、と悪態をつきながらのたれ死ぬしかないのかもしれない。だって手書き入力しかできないということは、隣のおばさんと同レベルになってしまったのだからw。その前にできるだけ自分のデータをクラウドに上げて、ジョブズのようにクラウドの中で生き続けるための準備をしよう。現世と来世はやがてクラウドの中で融合するかもしれない。私も旅立ちの準備の前に、まずはアップロードだ。
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自賠責が赤字。その原因の一つは私かもしれない:編集長コラム 水野誠志朗\’sトーク
12月 28th, 2011 · No Comments
▲自動車損害賠償責任保険、いわゆる自賠責が赤字ということで、今年(2011年)4月から保険料が引き上げられていることをご存じだろうか。自賠責がどう運営されているのか、なぜ赤字なのかが今ひとつはっきりしないが、いずれにしても事故での支払いが多いということに関しては間違いないようだ。私も昨年、この保険が大量に払われた事故に遭遇したので、報告しておきたい。ちょっと、なんだかな、と思う話だ。
▲まずその事故だが、四十絡みの女性が乗る自転車に、私のクルマがかすったというもの。事故状況だが、横断歩道で止まった私のクルマの前を横切った自転車の駐輪スタンドの後端に、少し動き出した私のクルマ前部がかすった(らしい)。女性は子供を自転車後部のチャイルドシートに乗せていた。クルマ側にはなんら衝撃は無く、そのまま通り過ぎるところだったが、自転車を止めて振り向いた女性がわめいているので、クルマを止めると、当たったと言う。むろん自転車は倒れてなどいないし、クルマを見ても当たった形跡がないので、そんなことはないというと、足が痛いと言い出した。当たり屋ではないかと疑ったくらいの強い語気に、それなら警察へ行こうと近所の交番へ。この時は特に痛がる様子もなかったのだが。
▲交番で事故処理班を呼んでもらい、現場検証したが、そこで私のクルマのバンパー下にごく小さな擦り跡があり、ここに接触したのだろうということに。そうなれば致し方ないので、こちらも下手に出ることにしたのだが、そうすると今度は後ろに乗っていた子供も体が痛いといっていると言いだした。さすがにこれは普通じゃないなと思ったが、警察とも話をして、一週間様子を見て人身事故にするかどうか決めるということでその日は別れた。翌日、お詫びとして菓子折を持って事故現場すぐの自宅に行くと、受け取らない。保険屋と話すから受け取れないという。今までいくつもの事故に対応してきたが、この時点でちょっとやっかいな人であると再確認した。
▲一週間過ぎたら警察から連絡があり、案の定、先方は人身事故扱いにしたいと言っているとのこと。うちの保険会社と相談したが、そうした人だったら保険を使った方がいいでしょうとのアドバイスもあり、その後の対応は保険会社に任せた。そして私には軽微な人身事故(ただし女性と子供の二人分)ということで行政処分点4点がつけられた。おかげで累積6点になってしまい、以前のコラムで書いたように講習出席の次第となったのである。ただし、いわゆる罰金はまったく来なかった。警察としてもごくごく軽微な事故という認識だったからだろう。
▲それからは保険会社からの報告書を読んでいただけなのだが、後ろに乗っていたの子供には半年後に治療費約30万円、賠償金約50万円が支払われた。女性の方はそれからさらに半年以上(事故から1年以上)治療に通い続け、治療費約120万円、賠償金約150万円が支払われた。あとで見たら自転車にも修理代として4万円弱が支払われていた(もちろん壊れてなどいないが)。保険会社によると、本人はまだまだ通院すると言ったそうだが、さすがに保険会社もこれ以上はということで、多めの賠償金で手を打ったそうだ。クルマがかすっただけで実に350万円ものお金が支払われたのである。
▲自賠責は任意保険に優先して一人あたり120万円まで支払われる。つまり子供の分は全額自賠責から、女性の分は120万円が自賠責から支払われ、残りの150万円ほどが任意保険からの支払われた。人身事故の場合、このようにまず自賠責が使われる仕組みである。つまり120万円までは、任意保険会社の自腹は痛まない。このため割に支払いが甘いとされるが、それを超えると示談を急ぐ傾向にあるようだ。これを知ると自賠責が赤字になるのは、今回のケースのようにどんどん支払われてることも原因の一つではないかと思えてきた。
▲一般的には加害者という立場になる私だが、このケース、さすがに素直にごめんなさいという気になれない。保険会社によればこのような支払い事例は少なくないようだ。この女性に関しても、初めての事故ではなく、過去にそれなりに経験があるように思われるという。ただそうしたデータを自賠責は持ってはいないようだ。任意保険の会社では、自社が支払った人のデータベースを持っているようだが、それでも他社のデータまで見ることまではできないようで、いわゆるブラックリストのようなものは、公には存在していないという。同じ会社で二度目の事故請求となれば、当然それなりの対応をするようだが。
▲いずれにしても自賠責が赤字になっている中で、今回のような支払い事例を見てしまうと、まじめに自賠責のお金を支払っているドライバーがバカを見ているような気がしてくる。また死亡最大3000万円、けが最大120万円の自賠責では賠償金が全額支払いきれないケースが多い(今回もそう)。であれば自賠責などもう撤廃して、民間の自動車保険に一本化し、加入を義務づける方が合理的ではないだろうか。保険会社も支払いが慎重になるだろう。もちろん保険に入らない人はより厳しく取り締まるべきで、警察にも意味のよくわからない交通取り締まりばかりでなく、こちらにも力を入れてもらいたいもの。
▲また、多大な労力をかけて警察が現場検証をしてくれるのだから、個々の事故に応じて過失責任を算定する仕組みと、それに対する賠償を明文化できないものだろうか。今回のケースであれば、この保険金支払いが何だかちょっと変だと言える第三者は、当日の現場検証をして書類を作った(それゆえ行政処分を下した)警察しかいないのだから。何百万円ものお金が動く話なのだから、民事不介入の一言で済ましていいのかとも思う。どれだけ安全に気を使って運転していても、事故は起きるときには起きてしまう。その時の備えを、個人はもちろん、制度としても見直す時が来ているのではないだろうか。
▲昨年(2010年)の無保険車(自賠責未加入車)摘発が過去10年で最多の5385件に上っているという。自賠責に入っていない人はものすごく多いようだ。また無保険車によって事故にあった被害者を救済するため、国が賠償金を加害者(無保険車運転者)に代わって立て替える制度があり、そうして支払われた立替金を加害者から回収できなかった額は458億円に上るという。この制度では自賠責とほぼ同額が被害者に支払われるが、その原資は自賠責保険料の一部とのこと。今回、もし私が無保険車であった場合、どのように支払われただろうか。被害者であることを声高に主張すれば、この制度でも支払われるのだろうか。クルマを取り巻く問題の一つがこんなところにもある。
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デジタルデバイドを超えるもの(ありがとう、ジョブズ):編集長コラム 水野誠志朗\’sトーク
12月 26th, 2011 · No Comments
▲最近あまり言われなくなったが、デジタルデバイドは確かにまだまだ存在している。実際、私のようなアラカン世代ともなると、おそらく半分以下の人しかネットやデジタルグッズの恩恵を被っていないだろう。うちのかみさんは、私の影響もあって、様々なデジタルグッズを使っており、TwitterやFacebookは私より積極的だし、何よりそれに割く時間がものすごく多くて、テレビや映画をあまり見なくなった。彼女は「最近のつまらないテレビを見たくもないと思う同世代は、デジタルグッズなしだといったい何をして楽しんでいるのだろう」とまで言う。
▲近所に住む彼女の同級生は、デジタル物は全くダメ。その旦那も同様。さすがに携帯メールくらいは使っているが、ネットもほとんど見ないらしい。親族は誰も彼女に使い方を教えないし、デジタル物は結構高額だから買えないとのこと。ということで彼女は今後、デジタル物を使うことはなく老いていくように思える。何かのきっかけで、彼女がデジタル物を使うようになることは、はたしてこの先果たしてあるのだろうか。
▲と考えたとき、いや案外あるかも、と思い当たることがある。それはタブレットと無線回線の普及が急速だからだ。うちのかみさんもPCは使うが、はっきりいってあまり得意ではない。仕事のために開くことはあるが、もっぱら使うのはiPhoneとiPadだ。私はアップル嫌いなのでこれらを全く使わないため、彼女に対しては完全にノーサポート。彼女はそれまでの知識に加え、ネットで多くの知人を得て、これらを使いこなしている。いや、使いこなしているとまではいえないようだが、少なくとも楽しめるレベルにある。まあ十分だろう。
▲しかし正直なところ、まだタブレット類もスマホも普通のおばさんにはかなりハードルが高い。とはいえかみさんを見ればわかるとおり、PCと比べたらこれはもう圧倒的に簡単だ。象徴的なのはキーボードが無いことだろう。パソコン利用の大きなハードルはキーボードとマウスだ。カーソルを動かし、ダブルクリックし、ローマ字入力して変換する、この一連の作業ができるようになるかが、パソコンの最大の難関だったといってもいい。クルマでいえば、クラッチとアクセルとギアだ。昔はこの三つを使えるようになるため免許取得に苦労したものだが、今はオートマだから苦も無く免許が取れる。しかしPCはいまだに難しい。いったん覚えればクルマもPCもとても便利になるのだが。
▲これがタブレットやスマホとなると直感的に触れるだけだ。入力にしても最近は手書きIMEが実用域に入っている。私はキーボードがあれば考える速度で入力できるが、フリック入力はそこまでは無理。そのためまるでキーボードの使えない老人になった気分でめげていた。といって今さら入力練習をするのも嫌。そこで手書きIMEを入れてみたら、これが結構使える。簡単な文章なら今や手書きの方が手っ取り早い。昔、PalmOSのPDAで特殊な手書き文字を覚えたものだが、今は日本語がそのまま手書き入力できる。つまりタッチパネルと手書きIMEがあれば、どんな老人だってタブレットやスマホ使いこなせる可能性がある。ウインドウズ8はPCでそれをやろうとしているのだろう。
▲またタブレットでやることは、基本的にすべてアプリにしてしまえば簡単だ。ブラウザで新聞サイトを読むより、新聞のアプリを入れて開いた方が簡単で見やすい。こうなると今後大手サイトはすべてアプリ化するしかないだろう。タブレットやスマホにそのアプリを入れれば、実際すぐに誰でもひとまず見られるし使える。デジタルデバイドなおばさんでもちょっと教えれば多分すぐに使いこなせるはずだ。
▲そしてもう一つは回線の問題。PCでネットを見ようと思うと、回線を確保し、プロバイダを契約し、ルータを置き、無線LANを設定するという大きなハードルがあったが、タブレットやスマホはそれが内蔵されている。テザリングができれば必要に応じてPCだってつなげられる。ワンアクションで、しかも無線でネットに繋がるのは、おばさんにも抵抗はないだろう。問題はまだ少し高めの回線料金だが、これはいずれだんだん下がっていくだろう。むろんトラフィック増の問題は今後解決しないといけないが。
▲つまりもうPCは死んだのだ。デジタルデバイドの解決にはPCはもはや何の力も持たない。今後はすべて、タブレットやスマホの世界になっていくだろう。その暁には、じいさんもばあさんもネットに繋がる。ウインドウズ、これまで長い間ありがとう。ビル・ゲイツ、ここまできたのはあなたのおかげ。ありがとう。でも、頭のいいあなたはもう自分の出る幕ではないと数年前にわかってしまったゆえ、とっとと引退したのだろう。そしてスティーヴ・ジョブス、本当にありがとう、ご苦労様。一足先にクラウドの世界へ旅立ったあなたのおかげで、私たちはここまできた。私はマックが嫌いだ。だけどあなたがいて本当によかった。
▲二人と同世代の私はもう少し生きながらえるつもりだ。PCジジイの私は今後、猫も杓子もタブレットばかり使いやがって、と悪態をつきながらのたれ死ぬしかないのかもしれない。だって手書き入力しかできないということは、隣のおばさんと同レベルになってしまったのだからw。その前にできるだけ自分のデータをクラウドに上げて、ジョブズのようにクラウドの中で生き続けるための準備をしよう。現世と来世はやがてクラウドの中で融合するかもしれない。私も旅立ちの準備の前に、まずはアップロードだ。
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自賠責が赤字。その原因の一つは私かもしれない:編集長コラム 水野誠志朗\’sトーク
12月 26th, 2011 · No Comments
▲自動車損害賠償責任保険、いわゆる自賠責が赤字ということで、今年(2011年)4月から保険料が引き上げられていることをご存じだろうか。自賠責がどう運営されているのか、なぜ赤字なのかが今ひとつはっきりしないが、いずれにしても事故での支払いが多いということに関しては間違いないようだ。私も昨年、この保険が大量に払われた事故に遭遇したので、報告しておきたい。ちょっと、なんだかな、と思う話だ。
▲まずその事故だが、四十絡みの女性が乗る自転車に、私のクルマがかすったというもの。事故状況だが、横断歩道で止まった私のクルマの前を横切った自転車の駐輪スタンドの後端に、少し動き出した私のクルマ前部がかすった(らしい)。女性は子供を自転車後部のチャイルドシートに乗せていた。クルマ側にはなんら衝撃は無く、そのまま通り過ぎるところだったが、自転車を止めて振り向いた女性がわめいているので、クルマを止めると、当たったと言う。むろん自転車は倒れてなどいないし、クルマを見ても当たった形跡がないので、そんなことはないというと、足が痛いと言い出した。当たり屋ではないかと疑ったくらいの強い語気に、それなら警察へ行こうと近所の交番へ。この時は特に痛がる様子もなかったのだが。
▲交番で事故処理班を呼んでもらい、現場検証したが、そこで私のクルマのバンパー下にごく小さな擦り跡があり、ここに接触したのだろうということに。そうなれば致し方ないので、こちらも下手に出ることにしたのだが、そうすると今度は後ろに乗っていた子供も体が痛いといっていると言いだした。さすがにこれは普通じゃないなと思ったが、警察とも話をして、一週間様子を見て人身事故にするかどうか決めるということでその日は別れた。翌日、お詫びとして菓子折を持って事故現場すぐの自宅に行くと、受け取らない。保険屋と話すから受け取れないという。今までいくつもの事故に対応してきたが、この時点でちょっとやっかいな人であると再確認した。
▲一週間過ぎたら警察から連絡があり、案の定、先方は人身事故扱いにしたいと言っているとのこと。うちの保険会社と相談したが、そうした人だったら保険を使った方がいいでしょうとのアドバイスもあり、その後の対応は保険会社に任せた。そして私には軽微な人身事故(ただし女性と子供の二人分)ということで行政処分点4点がつけられた。おかげで累積6点になってしまい、以前のコラムで書いたように講習出席の次第となったのである。ただし、いわゆる罰金はまったく来なかった。警察としてもごくごく軽微な事故という認識だったからだろう。
▲それからは保険会社からの報告書を読んでいただけなのだが、後ろに乗っていたの子供には半年後に治療費約30万円、賠償金約50万円が支払われた。女性の方はそれからさらに半年以上(事故から1年以上)治療に通い続け、治療費約120万円、賠償金約150万円が支払われた。あとで見たら自転車にも修理代として4万円弱が支払われていた(もちろん壊れてなどいないが)。保険会社によると、本人はまだまだ通院すると言ったそうだが、さすがに保険会社もこれ以上はということで、多めの賠償金で手を打ったそうだ。クルマがかすっただけで実に350万円ものお金が支払われたのである。
▲自賠責は任意保険に優先して一人あたり120万円まで支払われる。つまり子供の分は全額自賠責から、女性の分は120万円が自賠責から支払われ、残りの150万円ほどが任意保険からの支払われた。人身事故の場合、このようにまず自賠責が使われる仕組みである。つまり120万円までは、任意保険会社の自腹は痛まない。このため割に支払いが甘いとされるが、それを超えると示談を急ぐ傾向にあるようだ。これを知ると自賠責が赤字になるのは、今回のケースのようにどんどん支払われてることも原因の一つではないかと思えてきた。
▲一般的には加害者という立場になる私だが、このケース、さすがに素直にごめんなさいという気になれない。保険会社によればこのような支払い事例は少なくないようだ。この女性に関しても、初めての事故ではなく、過去にそれなりに経験があるように思われるという。ただそうしたデータを自賠責は持ってはいないようだ。任意保険の会社では、自社が支払った人のデータベースを持っているようだが、それでも他社のデータまで見ることまではできないようで、いわゆるブラックリストのようなものは、公には存在していないという。同じ会社で二度目の事故請求となれば、当然それなりの対応をするようだが。
▲いずれにしても自賠責が赤字になっている中で、今回のような支払い事例を見てしまうと、まじめに自賠責のお金を支払っているドライバーがバカを見ているような気がしてくる。また死亡最大3000万円、けが最大120万円の自賠責では賠償金が全額支払いきれないケースが多い(今回もそう)。であれば自賠責などもう撤廃して、民間の自動車保険に一本化し、加入を義務づける方が合理的ではないだろうか。保険会社も支払いが慎重になるだろう。もちろん保険に入らない人はより厳しく取り締まるべきで、警察にも意味のよくわからない交通取り締まりばかりでなく、こちらにも力を入れてもらいたいもの。
▲また、多大な労力をかけて警察が現場検証をしてくれるのだから、個々の事故に応じて過失責任を算定する仕組みと、それに対する賠償を明文化できないものだろうか。今回のケースであれば、この保険金支払いが何だかちょっと変だと言える第三者は、当日の現場検証をして書類を作った(それゆえ行政処分を下した)警察しかいないのだから。何百万円ものお金が動く話なのだから、民事不介入の一言で済ましていいのかとも思う。どれだけ安全に気を使って運転していても、事故は起きるときには起きてしまう。その時の備えを、個人はもちろん、制度としても見直す時が来ているのではないだろうか。
▲昨年(2010年)の無保険車(自賠責未加入車)摘発が過去10年で最多の5385件に上っているという。自賠責に入っていない人はものすごく多いようだ。また無保険車によって事故にあった被害者を救済するため、国が賠償金を加害者(無保険車運転者)に代わって立て替える制度があり、そうして支払われた立替金を加害者から回収できなかった額は458億円に上るという。この制度では自賠責とほぼ同額が被害者に支払われるが、その原資は自賠責保険料の一部とのこと。今回、もし私が無保険車であった場合、どのように支払われただろうか。被害者であることを声高に主張すれば、この制度でも支払われるのだろうか。クルマを取り巻く問題の一つがこんなところにもある。
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2011年最後の新車試乗記予告!:MOTOR DAYS ピックアップニュース
12月 26th, 2011 · No Comments
滑り込みでスイフトスポーツです
試乗会ではイエローが6MT、シルバーがCVTという風に分かれてました
今年最後の新車試乗記は、年末の箱根試乗会で乗ったスズキの新型スイフトスポーツ。いつもの試乗と違って、箱根・芦ノ湖周辺での短時間「ジェットコースター試乗」のため、じっくりは乗れてませんが、クルマの良さはビンビン伝わってきました。6MTとCVTに取っ替え引っ替え乗ったので、その走りの違い(あくまでワインディングでの、ですが)については、正確にリポートできると思います。
1968年生まれの私にとって、これまで最悪の年は、阪神・淡路大震災と地下鉄サリン事件が立て続けに起こった1995年。そして2011年も、そんなことを思い出させるたいへんな年になってしまいました。そんな年の最後を、スイフトスポーツのような情熱のこもったクルマで締めくくれるのは、ささやかながら嬉しいことです。まだまだ日本のクルマは面白くなれる。エンジニアの皆さんは面白いクルマを作ろうとしている。そう思えるクルマだと思います。ということで、2011年最後の試乗記をお楽しみに!
(丹羽 圭@DAYS)
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デジタルデバイドを超えるもの(ありがとう、ジョブズ):編集長コラム 水野誠志朗\’sトーク
12月 24th, 2011 · No Comments
▲最近あまり言われなくなったが、デジタルデバイドは確かにまだまだ存在している。実際、私のようなアラカン世代ともなると、おそらく半分以下の人しかネットやデジタルグッズの恩恵を被っていないだろう。うちのかみさんは、私の影響もあって、様々なデジタルグッズを使っており、TwitterやFacebookは私より積極的だし、何よりそれに割く時間がものすごく多くて、テレビや映画をあまり見なくなった。彼女は「最近のつまらないテレビを見たくもないと思う同世代は、デジタルグッズなしだといったい何をして楽しんでいるのだろう」とまで言う。
▲近所に住む彼女の同級生は、デジタル物は全くダメ。その旦那も同様。さすがに携帯メールくらいは使っているが、ネットもほとんど見ないらしい。親族は誰も彼女に使い方を教えないし、デジタル物は結構高額だから買えないとのこと。ということで彼女は今後、デジタル物を使うことはなく老いていくように思える。何かのきっかけで、彼女がデジタル物を使うようになることは、はたしてこの先果たしてあるのだろうか。
▲と考えたとき、いや案外あるかも、と思い当たることがある。それはタブレットと無線回線の普及が急速だからだ。うちのかみさんもPCは使うが、はっきりいってあまり得意ではない。仕事のために開くことはあるが、もっぱら使うのはiPhoneとiPadだ。私はアップル嫌いなのでこれらを全く使わないため、彼女に対しては完全にノーサポート。彼女はそれまでの知識に加え、ネットで多くの知人を得て、これらを使いこなしている。いや、使いこなしているとまではいえないようだが、少なくとも楽しめるレベルにある。まあ十分だろう。
▲しかし正直なところ、まだタブレット類もスマホも普通のおばさんにはかなりハードルが高い。とはいえかみさんを見ればわかるとおり、PCと比べたらこれはもう圧倒的に簡単だ。象徴的なのはキーボードが無いことだろう。パソコン利用の大きなハードルはキーボードとマウスだ。カーソルを動かし、ダブルクリックし、ローマ字入力して変換する、この一連の作業ができるようになるかが、パソコンの最大の難関だったといってもいい。クルマでいえば、クラッチとアクセルとギアだ。昔はこの三つを使えるようになるため免許取得に苦労したものだが、今はオートマだから苦も無く免許が取れる。しかしPCはいまだに難しい。いったん覚えればクルマもPCもとても便利になるのだが。
▲これがタブレットやスマホとなると直感的に触れるだけだ。入力にしても最近は手書きIMEが実用域に入っている。私はキーボードがあれば考える速度で入力できるが、フリック入力はそこまでは無理。そのためまるでキーボードの使えない老人になった気分でめげていた。といって今さら入力練習をするのも嫌。そこで手書きIMEを入れてみたら、これが結構使える。簡単な文章なら今や手書きの方が手っ取り早い。昔、PalmOSのPDAで特殊な手書き文字を覚えたものだが、今は日本語がそのまま手書き入力できる。つまりタッチパネルと手書きIMEがあれば、どんな老人だってタブレットやスマホ使いこなせる可能性がある。ウインドウズ8はPCでそれをやろうとしているのだろう。
▲またタブレットでやることは、基本的にすべてアプリにしてしまえば簡単だ。ブラウザで新聞サイトを読むより、新聞のアプリを入れて開いた方が簡単で見やすい。こうなると今後大手サイトはすべてアプリ化するしかないだろう。タブレットやスマホにそのアプリを入れれば、実際すぐに誰でもひとまず見られるし使える。デジタルデバイドなおばさんでもちょっと教えれば多分すぐに使いこなせるはずだ。
▲そしてもう一つは回線の問題。PCでネットを見ようと思うと、回線を確保し、プロバイダを契約し、ルータを置き、無線LANを設定するという大きなハードルがあったが、タブレットやスマホはそれが内蔵されている。テザリングができれば必要に応じてPCだってつなげられる。ワンアクションで、しかも無線でネットに繋がるのは、おばさんにも抵抗はないだろう。問題はまだ少し高めの回線料金だが、これはいずれだんだん下がっていくだろう。むろんトラフィック増の問題は今後解決しないといけないが。
▲つまりもうPCは死んだのだ。デジタルデバイドの解決にはPCはもはや何の力も持たない。今後はすべて、タブレットやスマホの世界になっていくだろう。その暁には、じいさんもばあさんもネットに繋がる。ウインドウズ、これまで長い間ありがとう。ビル・ゲイツ、ここまできたのはあなたのおかげ。ありがとう。でも、頭のいいあなたはもう自分の出る幕ではないと数年前にわかってしまったゆえ、とっとと引退したのだろう。そしてスティーヴ・ジョブス、本当にありがとう、ご苦労様。一足先にクラウドの世界へ旅立ったあなたのおかげで、私たちはここまできた。私はマックが嫌いだ。だけどあなたがいて本当によかった。
▲二人と同世代の私はもう少し生きながらえるつもりだ。PCジジイの私は今後、猫も杓子もタブレットばかり使いやがって、と悪態をつきながらのたれ死ぬしかないのかもしれない。だって手書き入力しかできないということは、隣のおばさんと同レベルになってしまったのだからw。その前にできるだけ自分のデータをクラウドに上げて、ジョブズのようにクラウドの中で生き続けるための準備をしよう。現世と来世はやがてクラウドの中で融合するかもしれない。私も旅立ちの準備の前に、まずはアップロードだ。
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自賠責が赤字。その原因の一つは私かもしれない:編集長コラム 水野誠志朗\’sトーク
12月 24th, 2011 · No Comments
▲自動車損害賠償責任保険、いわゆる自賠責が赤字ということで、今年(2011年)4月から保険料が引き上げられていることをご存じだろうか。自賠責がどう運営されているのか、なぜ赤字なのかが今ひとつはっきりしないが、いずれにしても事故での支払いが多いということに関しては間違いないようだ。私も昨年、この保険が大量に払われた事故に遭遇したので、報告しておきたい。ちょっと、なんだかな、と思う話だ。
▲まずその事故だが、四十絡みの女性が乗る自転車に、私のクルマがかすったというもの。事故状況だが、横断歩道で止まった私のクルマの前を横切った自転車の駐輪スタンドの後端に、少し動き出した私のクルマ前部がかすった(らしい)。女性は子供を自転車後部のチャイルドシートに乗せていた。クルマ側にはなんら衝撃は無く、そのまま通り過ぎるところだったが、自転車を止めて振り向いた女性がわめいているので、クルマを止めると、当たったと言う。むろん自転車は倒れてなどいないし、クルマを見ても当たった形跡がないので、そんなことはないというと、足が痛いと言い出した。当たり屋ではないかと疑ったくらいの強い語気に、それなら警察へ行こうと近所の交番へ。この時は特に痛がる様子もなかったのだが。
▲交番で事故処理班を呼んでもらい、現場検証したが、そこで私のクルマのバンパー下にごく小さな擦り跡があり、ここに接触したのだろうということに。そうなれば致し方ないので、こちらも下手に出ることにしたのだが、そうすると今度は後ろに乗っていた子供も体が痛いといっていると言いだした。さすがにこれは普通じゃないなと思ったが、警察とも話をして、一週間様子を見て人身事故にするかどうか決めるということでその日は別れた。翌日、お詫びとして菓子折を持って事故現場すぐの自宅に行くと、受け取らない。保険屋と話すから受け取れないという。今までいくつもの事故に対応してきたが、この時点でちょっとやっかいな人であると再確認した。
▲一週間過ぎたら警察から連絡があり、案の定、先方は人身事故扱いにしたいと言っているとのこと。うちの保険会社と相談したが、そうした人だったら保険を使った方がいいでしょうとのアドバイスもあり、その後の対応は保険会社に任せた。そして私には軽微な人身事故(ただし女性と子供の二人分)ということで行政処分点4点がつけられた。おかげで累積6点になってしまい、以前のコラムで書いたように講習出席の次第となったのである。ただし、いわゆる罰金はまったく来なかった。警察としてもごくごく軽微な事故という認識だったからだろう。
▲それからは保険会社からの報告書を読んでいただけなのだが、後ろに乗っていたの子供には半年後に治療費約30万円、賠償金約50万円が支払われた。女性の方はそれからさらに半年以上(事故から1年以上)治療に通い続け、治療費約120万円、賠償金約150万円が支払われた。あとで見たら自転車にも修理代として4万円弱が支払われていた(もちろん壊れてなどいないが)。保険会社によると、本人はまだまだ通院すると言ったそうだが、さすがに保険会社もこれ以上はということで、多めの賠償金で手を打ったそうだ。クルマがかすっただけで実に350万円ものお金が支払われたのである。
▲自賠責は任意保険に優先して一人あたり120万円まで支払われる。つまり子供の分は全額自賠責から、女性の分は120万円が自賠責から支払われ、残りの150万円ほどが任意保険からの支払われた。人身事故の場合、このようにまず自賠責が使われる仕組みである。つまり120万円までは、任意保険会社の自腹は痛まない。このため割に支払いが甘いとされるが、それを超えると示談を急ぐ傾向にあるようだ。これを知ると自賠責が赤字になるのは、今回のケースのようにどんどん支払われてることも原因の一つではないかと思えてきた。
▲一般的には加害者という立場になる私だが、このケース、さすがに素直にごめんなさいという気になれない。保険会社によればこのような支払い事例は少なくないようだ。この女性に関しても、初めての事故ではなく、過去にそれなりに経験があるように思われるという。ただそうしたデータを自賠責は持ってはいないようだ。任意保険の会社では、自社が支払った人のデータベースを持っているようだが、それでも他社のデータまで見ることまではできないようで、いわゆるブラックリストのようなものは、公には存在していないという。同じ会社で二度目の事故請求となれば、当然それなりの対応をするようだが。
▲いずれにしても自賠責が赤字になっている中で、今回のような支払い事例を見てしまうと、まじめに自賠責のお金を支払っているドライバーがバカを見ているような気がしてくる。また死亡最大3000万円、けが最大120万円の自賠責では賠償金が全額支払いきれないケースが多い(今回もそう)。であれば自賠責などもう撤廃して、民間の自動車保険に一本化し、加入を義務づける方が合理的ではないだろうか。保険会社も支払いが慎重になるだろう。もちろん保険に入らない人はより厳しく取り締まるべきで、警察にも意味のよくわからない交通取り締まりばかりでなく、こちらにも力を入れてもらいたいもの。
▲また、多大な労力をかけて警察が現場検証をしてくれるのだから、個々の事故に応じて過失責任を算定する仕組みと、それに対する賠償を明文化できないものだろうか。今回のケースであれば、この保険金支払いが何だかちょっと変だと言える第三者は、当日の現場検証をして書類を作った(それゆえ行政処分を下した)警察しかいないのだから。何百万円ものお金が動く話なのだから、民事不介入の一言で済ましていいのかとも思う。どれだけ安全に気を使って運転していても、事故は起きるときには起きてしまう。その時の備えを、個人はもちろん、制度としても見直す時が来ているのではないだろうか。
▲昨年(2010年)の無保険車(自賠責未加入車)摘発が過去10年で最多の5385件に上っているという。自賠責に入っていない人はものすごく多いようだ。また無保険車によって事故にあった被害者を救済するため、国が賠償金を加害者(無保険車運転者)に代わって立て替える制度があり、そうして支払われた立替金を加害者から回収できなかった額は458億円に上るという。この制度では自賠責とほぼ同額が被害者に支払われるが、その原資は自賠責保険料の一部とのこと。今回、もし私が無保険車であった場合、どのように支払われただろうか。被害者であることを声高に主張すれば、この制度でも支払われるのだろうか。クルマを取り巻く問題の一つがこんなところにもある。
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